業界トピックス

【ザックリ解説】揮発性有機化合物

知ってそうで知らない「揮発性有機化合物」、今回は防水との関連を中心にご説明します。

揮発性有機化合物(VOC)って何?

揮発しやすい有機化合物の総称じゃな。WHOの定義では、沸点が約50〜260℃の範囲にある有機化合物を指すのじゃ。その中で、厚生労働省は13種類の物質に室内濃度指針値を定めておるぞい。

厚生労働省指針13物質

厚生労働省が定めた指針値
規制物質室内濃度指針値
ホルムアルデヒド100μg/㎥
トルエン260μg/㎥
キシレン200μg/㎥
パラジクロロベンゼン240μg/㎥
エチルベンゼン370μg/㎥
スチレン(モノマー)220μg/㎥
クロルピリホス※11μg/㎥ ※2
フタル酸ジ-n-ブチル17μg/㎥
テトラデカン330μg/㎥
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル100μg/㎥
ダイアジノン0.29μg/㎥
アセトアルデヒド48μg/㎥
フェノブカルブ33μg/㎥
総揮発性有機化合物量400μg/㎥

※1 居室を有する建築物には使用禁止  ※2小児の場合、0.1μg/㎥

他に、文部科学省の指針や、品確法や建築基準法があるので参考にすると良いぞ。

厚生労働省指針13物質は分かったけど、指針ってどういう事?

良い質問じゃ。言葉通り「指針」なんじゃが、室内濃度指針値を超えているかどうかは測定しないと当然判断できん。じゃから極力含有量が少ないか、含有していない建材を使用するなどの対策が必要ってことじゃな。

防水とは、どう関わってくるの?

厚生労働省指針13物質は、「室内」で使用する「ウレタン塗膜防水」くらいしか関係ないぞよ。「測定しないと判断できない」から、13物質を原料に含まない工法と、含む工法を紹介するぞよ

VOCを含まない工法VOCを含む工法
セピロンE工法セピロンQ工法

他に気をつけることは?

厚生労働省指針13物質の中でも「ホルムアルデヒド」は、建築基準法により発散する建材の使用制限があるんじゃ。その他にもトルエンやキシレン、エチルベンゼンなどは有機則や特化則での対象物質じゃから、総合的に勉強する必要があるぞよ

ホルムアルデヒド

ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の主な原因物質のひとつで、2003年の建築基準法改正により、建材のホルムアルデヒド放散量に応じて等級が設定されました。
また、規制対象建材を内装仕上げに用いる場合は、JIS・JAS・国土交通大臣等の認定取得及び種別(等級)表示が義務となっています。
 F☆☆☆☆(エフフォースター)は最上位等級であり、使用面積に制限がない唯一の等級です。

ホルムアルデヒド発散建築材料の区分
区分種別
(等級)
放散速度
(㎍/㎡h)
使用制限
規制対象外F☆☆☆☆5以下制限なし
第三種F☆☆☆5超~20制限あり
第二種F☆☆20超~120制限あり
第一種無等級120超使用禁止

対象となる内装建材は、木質建材(合板、木質フローリング、パーティクルボード、MDFなど)、壁紙、ホルムアルデヒドを含む断熱材、接着剤、塗料、仕上塗材などで、防水材料は規制の対象外なんじゃ。

日新工業のF☆☆☆☆ 取得状況

防水施工に関わる製品は規制の対象外ですが、「内装材」としても併用している

  • BKボードE(ポリスチレンフォーム断熱材)
  • MFボンドN・EPなど(塩化ビニル樹脂系シート防水、防滑性床シートに使用する接着剤)

について取得しております。
尚、「防水材料」については、規制の対象外ですが、業界団体である日本ウレタン建材工業会(NUK)の自主規制申請登録制度により、弊社で使用する「ウレタン塗膜防水材」は「F☆☆☆☆」相当であると承認されております。

まとめ

  • 厚生労働省は13種類の物質に室内濃度指針値を定めている
  • 基本的に「室内」に関する指針・規制
  • ホルムアルデヒド放散速度に応じて等級を設定しているが、防水材料は規制の対象外

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