ザックリ解説「担い手3法」改正
建設工事の適正な施工及び品質確保と、その担い手確保に向けた対策を強化することを目的に、2024年6月「担い手3法」が改正されました
担い手3法とは?
3つの法律、建設業法・入契法(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)・品確法(公共工事の品質確保の促進に関する法律)をあわせて「担い手3法」と呼び、
2014年に「一次改正」、2019年に「二次改正」を実施していることから、今回の改定は「第三次・担い手3法」と表現されています
改正による3つの柱
- 担い手確保
- 生産性向上
- 地域における対応力強化
上記のうち、防水業界に直結する「担い手確保」を中心に、ザックリ解説させて頂きます
こ、今回も難しそうだね・・・・・
うむ。文字の説明ばかりだから、ザックリ解説するぞよ。
まずは「安過ぎる労務費での見積の提出」の禁止じゃな、中央建設業審議会が作成する「労務費の基準」より、著しく安かったらダメってことじゃ。
他に何があるの?
「総価での原価割れ契約」について今までは、注文者が地位を利用して契約をせまることを禁止していたんじゃが、今回の改正で受注者側も禁止されたんじゃ。
それから、建築現場は契約時期と施工時期にタイムラグがあるから、資材高騰に伴う請負代金等の「変更方法」を契約書の法定記載事項として明確化することになったんじゃ。
ただし受注者は、資材高騰の「おそれ情報」を注文者に通知する義務があるんじゃよ。
実際、資材が高騰した場合、受注者は注文者に請負代金等の変更を協議できるようになるんじゃ。
まあ、民間発注者は「協議に応ずる努力義務」、公共発注者は「協議に応ずる義務」があるだけじゃけどな。
もっと知りたい場合は、続きを読むのじゃ。
担い手確保の概要
担い手確保は「処遇改善」「価格転嫁」「働き方改革」に大別されます
【処遇改善】
(1)建設業者の責務、取組状況の調査(2024年9月施行)
労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化
→国は、建設業者の取組状況を調査・公表、中央建設業審議会に報告
(2)労務費の確保と行き渡り
- 中央建設業審議会は「労務費の基準」を作成・報告(2024年9月施行)
- 著しく低い労務費等による見積提出(受注者)や見積変更依頼(注文者)を禁止(2025年12月までに施行)
→違反して契約した発注者には、国土交通大臣等が勧告・公表(違反して契約した建設業者(注文者・受注者とも)には、現規定により、 指導・監督) ※ 「著しく低い」か否かは、「労務費の基準」を基準に判断
(3)不当に低い請負代金の禁止(2025年12月までに施行)
総価での原価割れ契約を受注者にも禁止 、(現行)注文者は、地位を利用して、原価割れ契約をしてはならない
【価格転嫁(労務費へのしわ寄せ防止)】
契約前のルール
- 資材高騰に伴う請負代金等の「変更方法」を契約書の法定記載事項として明確化
- 受注者は、資材高騰の「おそれ情報」を注文者に通知する義務
契約後のルール
契約前の通知をした受注者は、注文者に請負代金等の変更を協議できる。
注文者は、誠実に協議に応ずる努力義務(公共発注者は、協議に応ずる義務)
申し出られた協議の門前払い、申し出を理由とした不利益な取り扱い等は禁止
【働き方改革・環境整備】
働き方改革・環境整備については以下の改正がありますが、詳細は割愛します。
(1)品確法の改正
- 休日確保の促進
- 学校との連携・工法
- 災害等の特別な事情を踏まえた予定価格
- 測量資格の柔軟化(測量法改正)
(2)建設業法・入契法の改正
- 工期ダンピング防止の強化
- 工期変更の円滑化
「生産性向上」と「地域における対応力強化」で覚えておくことはないの?
ふむ、あえて言うなら「ICTを活用した現場管理の効率化」じゃな
興味があればザックリ説明を読んでおくと良いぞよ
ICTを活用した現場管理の効率化【令和6年12月までに施行】
- 国が現場管理の「指針」を作成 → 特定建設業者や公共工事受注者に対し、効率的な現場管理を努力義務化
- 公共発注者への施工体制台帳の提出義務を合理化(ICT活用で確認できれば提出は不要に)
担い手3法の改正詳細は、以下のサイトをご参照ください。(国土交通省ホームページへ遷移します)