意外と知らない防水理論3選
防水業界で30年働いていても、知らない理論がたくさんあります。そこで今回は、知ってそうで知らない防水理論をご紹介します。
①防水層の劣化要因
防水層の劣化要因は様々ありますが、大部分は「熱劣化」です。
その他に「紫外線劣化」「酸化劣化」「アルカリ劣化」などがあります。
- 露出断熱工法では断熱材の上に防水層があるため、防水層が「劣化しやすい」
- 保護断熱工法では断熱材の下に防水層があるため、防水層が「劣化しにくい」
②ルーフィングの張る順番
アスファルト防水熱工法で「ルーフ・スト・スト・ルーフ」という順番を表す言い方も最近では聞かなくなりました。
露出工法と保護工法で張る順番が異なるのには、理由があることを知っていますか?
- 露出仕様では外部からの劣化要因が強く、最下層に「ストレッチルーフィング」を配置
- 保護仕様では外部と内部からの劣化要因が均等なため、中央に「ストレッチルーフィング」を配置
屋内仕様
屋内仕様では 「ルーフ・スト・ルーフ・スト」と、最上層をストレッチルーフィングとします。
これは、浴室等で 防水層に継続的に熱がかかった場合、芯材がラグ原紙※のアスファルトルーフィングからアスファルトが染み出しやすくなるためです。
※綿やパルプを原料としたフェルト状のシートで、アスファルトを浸透・被覆させるための芯材として使用します。
③シートの張る方向
「アスファルト系防水」と「シート防水」ではルーフィングの張る方向が異なります。(原則「水下」から「水上」へ張ることに変化はありません)
- アスファルト系防水は、勾配方向へ登るように張付け
- シート防水は、水の流れがスムーズになるように張付け
POINT
アスファルト防水では、ルーフィングを張るための「アスファルトコンパウンド」を均一(横に流れでないよう)に塗布するため、改質アスファルト防水では、ルーフィングの厚みにより、排水を阻害させないために縦張りで施工します。