【ザックリ解説】労働安全衛生法
建築現場において「雨」や「風」などで、作業中止の判断をする場合もあるかと思いますが、労働安全衛生規則に「悪天候時の作業禁止」が定められていることはご存知でしょうか?
労働安全衛生規則第522条
事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行なう場合において、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、当該作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業に労働者を従事させてはならない。
「強風、大雨、大雪等」について、労働基準局長名で発せらる通達「基発」で以下の様に定義されています。
基発第309号(昭和46年4月15日)
大雨:1回の降雨量が50㎜以上の降雨
大雪:1回の降雪量が25㎝以上の降雪
強風:10分間平均風速が毎秒10m以上の風
暴風:瞬間風速が毎秒30mを超える風
「1回の」とか、「25㎝以上の降雪」って言われてもイメージが湧かないなぁ。
それ以上の定義は無いんじゃが「1回の」を仮に1時間とすると大雨は「かなりの豪雨」と捉えることが出来るぞよ。大雪は視界が真っ白になり、駐車している車がすぐ雪に埋もれてしまうほどの量じゃな。
毎秒10m以上の風もよく分からないや。
気象庁では「10m以上15m未満」の風を「やや強い風」とし「傘がさせない・樹木全体が揺れ始める・樋が揺れ始める」状態といっておる。
ちなみに、10分間平均風速はテレビなどでよく聞く「平均風速」と同じ意味なんじゃよ。
出典:気象庁 風の強さと吹き方(気象庁HP内のPDFに遷移します)
労働安全衛生法について
【労働安全衛生法とは?】
安衛法とも呼ばれ、1972年に労働者の安全と健康を守るために制定されました。簡単に言うと、働く人々の健康障害や事故・災害を防止するために、危険物・有害物や機械、作業環境の管理をしっかりとするための法律です。 この法律の細かいルールは、「労働安全衛生法施行令」や「労働安全衛生規則」において定められています。

【制定された背景】
労働安全衛生法の内容は、もともと労働基準法に含まれていましたが、高度経済成長期に労働災害が多発(死亡:年間6,000人超)したことにより、労働安全衛生に関する規制を強化する必要性が高まり、結果的に、労働基準法の関連する規制を独立・拡充して、新たに「労働安全衛生法」が成立しました。
【労働安全衛生法等で定められている事項】
この法律で定められていることは、管理者や責任者などの選任、労働災害防止のための措置、安全衛生委員会の設置、安全教育の実施、健康診断やストレスチェックの実施、リスクアセスメントなど、職場の安全と健康を守るための様々な規則があります。
また、関連する規則には、特定化学物質や有機溶剤、アスベストなどの取り扱いについての細かく定められている規則もあります。
【関連規則】
- 特定化学物質障害予防規則(特化則)
- 有機溶剤中毒予防規則(有機則)
- 石綿(アスベスト)障害予防規則
関連記事は2025年3月24日に公開予定です。(墜落防止用の器具(フルハーネス型安全帯)の着用義務化やリスクアセスメントなど)