【ザックリ解説】労働安全衛生法 ②
知ってそうで知らない「特化則」をザックリ解説します。
「特化則」かあ、雰囲気は理解しているけど誰かに説明することは出来ないなあ
労働安全衛生法に基づき、「特定化学物質」の安全基準やルールを定めた厚生労働省令じゃな。まずは言葉の定義を理解する必要があるぞよ!
特化則
特化則とは?
特定化学物質により、健康を害さないように、作業方法や設備などの規則を定めた省令。
(特定化学物質障害予防規則の略称)
用語解説(特定化学物質)
労働者が体内に取り込むと、健康障害を起こす可能性が高い「75種類の化学物質」の総称、有害性が高い順に第一類物質(7種類)、第二類物質(60種類)、第三類物質(8種類)の3つに分類。
→ 取り扱う物質により規制対象となる濃度が異なる
特定化学物質一覧(出典:中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター)
防水工事と特化則
防水工事に限定して説明すると、屋外では殆ど関係ないと考えてよいぞよ。屋内ではウレタン塗膜防水の施工時に注意が必要じゃ。
あくまで日新工業の材料の場合の話じゃから、SDSを確認するか製造メーカーへ都度問い合わせをすることを忘れずにな!
なんで屋内だとダメなの?
うむ。特定化学物質(第二類)の中で「特別有機溶剤等として分類される12種類の化学物質は、屋内作業場等で取扱う場合に適用」されるんじゃ。
ウレタン塗膜防水の一部製品には、その特別有機溶剤等が含まれているってことじゃな。
さらに「屋内作業所等」という言葉にも注意が必要じゃ、「等」は下記10項目と「通風が不十分な場所」を意味し、状況によりベランダ、中庭等でも該当する場合があるぞよ。
特化則とセットでよく聞く「MOCA」と「TDI」についても説明しようかのぉ。
日新工業のウレタン塗膜防水は「MOCAは未使用」「TDIは規制値以下」と覚えておくのじゃ。
屋内作業所等(有機則第1条第2項)
一 船舶の内部 二 車両の内部 三 タンクの内部 四 ピットの内部 五 坑の内部 六 ずい道の内部 七 暗きょ又はマンホールの内部 八 橋桁の内部 九 ダクトの内部 十 水管の内部 十一 屋内作業場及び前各号に掲げる場所のほか通風が不十分な場所
代表的な該当製品
USプライマーC1、USプライマーC2、USトップコート、USトップクール、だれ止め剤、硬化促進剤Ⅴ、マルエスシーラー
屋内等でセピロンQ工法を施工する場合には、特化則に該当してしまうんじゃ。施工する場合は「義務事項を実施」するか「プライマーとトップコートを特化則非該当製品に変更」する必要があるぞよ。
特化則で定められた、屋内作業場等で「特定化学物質」を取り扱う場合の主な義務事項を紹介するぞよ。
ザックリ言うと、「作業主任者を常駐」させ、「換気対策」をし、「作業者に呼吸用保護具を使用」させ、「掲示などにより有害性を周知」させた上で作業記録を作成・保存。
定期的に「作業環境測定」や「健康診断」を実施・保存するってことじゃ!
特化則に関係なくリスクアセスメントの実施は重要じゃし「掲示」には必須なのじゃ。
特化則に該当する場合の義務事項
業務に従事する労働者への有害性の周知
特定化学物質作業主任者の選任
作業主任者は「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」の修了者から選任
掲示
- 特定化学物質の名称
- 特定化学物質により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状
- 特定化学物質の取扱い上の注意事項
- 使用すべき保護具
局所排気装置の設置(蒸気対策)
作業環境測定
半年に1回、作業環境測定士による環境測定の実施。測定記録等は3年間又は30年間※保存
特定化学物質健康診断
雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後半年に1回、健康診断の実施。診断結果は5年間又は30年間※保存
作業記録
労働者氏名、作業の概要や従事期間などを記録し30年間保存
身体の洗浄および洗濯設備の設置(第一類、第二類物質使用時)
※取り扱う物質の種類によって、保存期間が異なります。
注意事項
特化則には非該当でも「有機溶剤中毒予防規則(有機則)」「女性労働基準規則(女性則)」など、様々な規則があり、厚生労働省や文部科学省の指針値で規定されている「14VOC」など他に覚えることはたくさんあるのじゃ!
2025年6月9日(予定)で特集する予定じゃぞ。