化学物質管理とリスクアセスメント
労働安全衛生法の改正により、化学物質管理とリスクアセスメントが大きく変わりました。そこで今回は、その「改正内容」についてザックリ解説します。
化学物質管理とは?
建設現場で使う 接着剤・シーリング材・塗料・洗浄剤 などに使用されている「化学物質」をSDS(安全データシート)・ラベル情報から把握して、どのような危険性があるのかを見て、 対策すること。
① 何を使っているのか(把握)
② どのような危険性があるのか(評価)
③ どのように危険性を防ぐのか(対策)
リスクアセスメントとは?
危ないものを安全に使うための事前準備。(SDS・ラベル情報を基に、危険性・有害性を評価し、ばく露低減措置などを決めること)
① SDSの最新版の入手・確認
② 危険性・有害性の把握
③ 作業条件の把握(換気・密閉など)
④ 低減措置の選択(換気・代替など)
⑤ 記録の作成・保存
SDSで最も見るべきは「2項 危険有害性の要約」「7項 取扱い及び保管上の注意」「8項
ばく露防止及び保護措置」の3項目じゃぞ
労働安全衛生法の改正ポイント
2024年から2026年の労働安全衛生法改正では、大別して4つ項目が変わっておるぞよ
①化学物質管理が「個別規制」から「自律的管理」へ
自律的管理は、すべての規模・業種の事業者の義務。 これまでは、特定の危険物だけを管理すれば良かったが、これからは、使用するほぼ全ての化学物質の危険性を確認・管理しなければならない。
②リスクアセスメント対象物質が大幅に拡大
- 2024年:896物質に拡大
- 2025年:約700物質追加
- 2026年:最終的に約2,300物質に拡大
③ばく露濃度が「濃度基準値」を下回る義務
対象物質(濃度基準値設定物質)の空気中濃度を基準値以下に抑えることが義務へ。(2026年4月~)
濃度基準値設定物質の詳細は、来週のトピックスで特集するぞよ
④化学物質管理者・保護具着用管理責任者の選任が義務化
リスクアセスメント対象物質を製造・取扱い・提供などを行うすべての事業場で選任が必要。(2024年~)

上の表の用語解説を順に行っていくぞよ
化学物質管理者とは?
事業場の化学物質管理の中心となる責任者
| リスクアセスメント対象物の製造事業者 | 専門的講習の修了者 |
| リスクアセスメント対象物の製造事業場以外の事業場 | 資格要件なし(専門的講習等の受講を推奨) |
| 科目 | 時間 | |
|---|---|---|
| 講義 | 化学物質の危険性又は有害性並びに表示等 | 2時間30分 |
| 化学物質の危険性又は有害性等の調査 | 3時間 | |
| 化学物質の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく措置等その他必要な記録等 | 2時間 | |
| 化学物質を原因とする災害発生時の対応 | 30分 | |
| 関係法令 | 1時間 | |
| 実習 | 化学物質の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置等 | 3時間 |
【化学物質管理者の主な業務】
- SDS(安全データシート)・ラベルの確認
- リスクアセスメント(RA)の実施管理
- ばく露低減措置の選定
- 作業手順書の整備
- 労働者教育
- 記録の保存
保護具着用管理責任者とは?
2024年4月の法改正で新設された役割で、化学物資の自律的管理の一部として選任義務化。
労働者が正しく保護具を選び・使い・管理できるように、事業場で運用を統括する責任者
【主な業務】
- 保護具の選定(リスクアセスメント結果に基づき、どの保護具が必要かを判断)
- 保護具の使用状況の確認(労働者が正しく着用しているかを現場で確認)
- 保護具の保守管理(交換時期の管理、劣化や破損のチェックなど)
- 労働者への教育(正しい使い方、交換時の目安など)
- 記録の作成・保存
建設事業者に求められる取組み
- 化学物質管理者、保護具着用管理責任者の選任。
- リスクアセスメント対象物について労働者のばく露濃度を最小限度に
- 濃度基準値が設定されている物質について労働者のばく露濃度を基準値以下に
- リスクアセスメント結果とばく露濃度低減措置の内容を労働者に周知するとともに、記録を作成し保存する
- 皮膚等障害化学物質等への直接接触(使用手袋の透過によるものを含む)の防止
- 化学物質ばく露低減措置、リスクアセスメントの結果、事業者がばく露低減措置の一環として実施した健康診断の結果、措置に関する事項等を衛生委員会等に付議する



